グルメ特集

Vol.30

富山県氷見市で生まれた
「氷見稲積梅」の魅力に迫る。

まだ肌寒い3〜4月にかけて花を咲かせ、夏が始まる前に実をつける梅は、
古くから体に良い食べ物として人々に親しまれてきました。
今回は、氷見市稲積地区を中心に生産されている「氷見稲積梅」について、
生産者の方のお話しを交えながら紹介していきます。

生産者インタビュー

氷見稲積梅株式会社 西塚 信司さん

氷見稲積梅の特徴

氷見稲積梅は、昭和24年に富山県氷見市の稲積地区で発見された富山県固有種です。
第1号となる富山県指定母樹は、現在も特産氷見稲積梅生産組合の構成員によって大切に育てられています。
令和4年2月には、梅として地理的表示(GI)保護制度における全国初の登録(富山県では3品目)を農林水産省より受けました。

こだわりの栽培方法

持続可能な栽培へのこだわり
氷見稲積梅は、果皮が軟らかいため、1つ1つ手揉みで収穫していきます。
カイガラムシなどの害虫駆除や病気予防など、管理がとても大変な農産物でもあり、6、7月の収穫が終われば、10月中旬から1〜2ヶ月程かけて、約300本の梅の木を一本ずつ剪定していく必要があります。除草剤は一切使用せず、最低限の回数だけ消毒を行なうことで、消費者の方に安心安全な氷見稲積梅をお届けすることができます。西塚さんは、環境にやさしい農業に取り組むエコファーマー(農業者)として、品質にもこだわって、梅が育ちやすい環境づくりに力を入れています。

「それでもやっぱり自然を相手にしているから、病気や害虫、天候によって梅の生産量は毎年変わります。そのため、市場から氷見稲積梅がなくなることがないように、さまざまなことに取り組んでいます」と語る西塚さん。

そのひとつとして、剪定枝は細かく砕きチップにして圃場に還元するという取り組みやHACCPの考えを取り入れるほか、近年では、毎年、養蜂家の方が春先のミツバチの運動も兼ねて梅園に養蜂箱を置いてくれるため、それが梅の花の受粉を助けることにつながっているそうです。

氷見稲積梅の梅干し

一度食べたら、忘れられない味
梅干しといっても、さまざまな種類があり、西塚さんが代表を務める氷見稲積梅株式会社で製造する梅干しは『氷見稲積梅のはちみつ漬け』と『越中伝統梅干し 氷見稲積梅』の2種類です。
はちみつ漬けは、塩分20%程で漬け込み、富山湾の海洋深層水で脱塩し、浸透圧で蜂蜜をブレンドしていく製法です。越中伝統梅干し 氷見稲積梅は、普通の梅干し作りで使用される粗塩ではなく天日塩を使用します。昔ながらの製法にこだわって作っているため、塩分約12%と市場でも非常に稀で、無添加、無着色のおいしい梅干しができあがります。味は普通の梅干しと比べて、最初は酸っぱいけど旨味があり、後味はまろやか。直売所や通販で購入されてリピーターがつくほど、一度食べたら忘れられない味と言われています。

また、昔は手もみしていた紫蘇作りでは、動力式脚踏み脱穀機や味噌こし機、脱水機を使用することで生産の効率化に成功しました。脱穀の際に混じる茎は、福祉施設の方々によって丁寧に取り除かれ、ミキサーで細かく砕き、紫蘇の粉末となります。

生産者として

「氷見稲積梅が現在のように認知されるようになったのは、私の祖父と知り合いだった前社長の長澤さんが家の都合で東京から氷見へ戻ってこられて、一から稲積梅の栽培と梅干しなど梅の加工食品の販売に取り組まれたことが始まりです。当時、私はJAの職員をしており、私の祖父が稲積梅の植樹をしていたことから、長澤さんから稲積梅の栽培や販売について熱心に相談を受けておりました。梅の栽培は、植樹しても7、8年経って成木にならないと実がならず、大変時間と根気のいる作物です。ましてや、すでに梅の市場があるなかで、稲積梅という新しい品種で栽培範囲を少しずつ広げ、世に広めていこうという想いには、すごく大変なことに挑戦している人だなと尊敬していました。そんななか、病気をしたことをきっかけに、大変だとはわかりつつもやっぱり祖父や長澤さんが作ってくれたこの梅園や稲積梅というブランドを守っていきたいという想いから、自分も関わるようになり、現在では後継者の育成や稲積梅を始め、稲積地区のPR活動に広く貢献しようと活動を続けています。
稲積梅は、加工に適した梅としてまだまだ可能性を秘めた品種です。ホテルや飲食店の料理としても、加工された商品としてご家庭で楽しまれる一品としても、より多くの方に知ってもらい、食べていただけたらと思っています。」
氷見稲積梅 株式会社WEBサイト

氷見稲積梅を使った商品

贈り物やお中元としても喜ばれており、どれもおすすめです。

氷見稲積梅を使ったレシピ

おいしくて簡単に作れる、氷見稲積梅を使ったレシピを紹介します。
夏にぴったりのさっぱりとした味わいの梅レシピを、ぜひご家庭でもお楽しみください。
レシピの詳細はこちら

「とやま食の匠」 制度とは?
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とやまの食に関する卓越した知識と技能を有し、その普及活動を積極的に行える個人や団体を「とやま食の匠」として認定する制度です。「特産の匠」「伝承の匠」「創作の匠」の3部門に分けられ、講習会やイベント等を通じて、「とやまの食」の魅力を県内外に発信していただいています。
詳細はこちら

富山県ふるさと認証食品制度 (Eマーク食品)とは?
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(Eマーク食品)とは?

  • Excellent Quality優れた品質
  • Exact Expression正確な表示
  • Harmony with Ecology地域の環境と調和
県内で生産された良質な農林水産加工食品において、主な原材料が富山県産又は富山県内の伝統的技術・技法で製造されていることを基準に、これを満たした食品には『富山県ふるさと認証食品』のマーク(通称:Eマーク)が付けられます。この制度を通じて、県産特産品のイメージアップを図るとともに、「とやまの特産品」を全国に情報発信しています。
「安全安心な富山の良い品」を選ぶ際の目印としてEマークを、ぜひお役立てください。
氷見稲積梅は
令和4年2月にGI登録されました!