かんもち | 越中とやま食の王国

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富山食ブランド

かんもち

かんもちは米菓の原点

米どころ富山県では、米を使ったお菓子づくりが伝統的に行われています。米菓のことを富山では「かき餅」や「かきやま」と呼びますが、そのルーツにあたるとされるのが「かんもち」です。「寒餅」と表記される「かんもち」は寒さが最も厳しいとされる寒中(かんちゅう)の期間に餅をつき、約1ヵ月間に渡って寒風にさらして乾燥させてもので、かつては農家の人々が保存や農作業中のおやつとして作っていました。風が水分を含む海沿いよりも、主に山間部の農村で受け継がれ、地域によっては「氷餅(こおりもち)」や「こん餅」と呼ばれています。
蔵や軒先で寒風にさらされるかんもちは、農村を代表する冬の風物詩でしたが、最近の住宅スタイルや生活様式の変化から、かんもちをつくる農家は少なくなりました。現在は地域の特産品として生産されるようになり、様々な商品が登場しています。

保存食から特産品へ

かんもちを特産品にしようと、最初に取り組んだのは立山町です。平成元年、地元の農産物を使った特産品開発を目的に農家の婦人ら20数名が農村婦人グループ加工部会(現「食彩工房たてやま」)を結成。町で昔から作られていたかんもちに目をつけ、独自の商品開発を行いました。まず、コシの強さに定評がある最高級の「新大正もち米」を原料に使用。甘くふくよかな触感が実現しました。そして、ヨモギやくちなしなど、地元で獲れる産物を餅の中に練りこみ、これまでになかった様々な味わいのかんもちをつくり出しました。しそ、古代米、昆布、のり、黒豆、黒砂糖、えび、ビート等、現在は10種類に増えています。使用する原料がすべて天然のもので、添加物や保存料が一切使われてない点も注目されます。
また、各家庭に普及した電子レンジに着目し、囲炉裏やストーブで焼くこれまでの歯ごたえがあるかんもちではなく、レンジで温めることを前提としたかんもちをつくりました。以前より厚みを持たせることで、しっとりとした歯触りが実現。子どもからお年寄りまでが安心して食べられるようになったのです。
また紙風船とセットにしてレンジで一緒に膨らませる等の新たな趣向を取り入れながら、立山町の、さらには富山県の特産品としての評価を高めました。

気苦労が絶えないかんもち作り

かんもちの特産化に向けて陣頭指揮をとった西田弥生さんは、「かんもち作りは、気苦労が絶えません。子どものように大切に育てなくては」と話します。昔から農家で作られてきたものとはいえ、商品化するには大変な苦労がありました。かんもちは十分に乾燥させないとカビが生え、逆に乾き過ぎるとバラバラに崩れてしまいます。湿気が多い日は窓を開け風通しを良くし、温かい日が続くと換気扇を調整し、逆に寒い日が続くと餅の上に紙をかけて保温するなどして対応します。順調に乾いても、水分が抜けて縮んだ餅が紐から抜け落ち、商品にならない場合もあります。小寒から節分までの1ヵ月間に仕上げないと味が落ちてしまうため、1月上旬から2月上旬頃まで気が抜けません。これらの苦労が実り、現在は食彩工房たてやまで多くのもち米(新大正もち)がかんもちに加工され、県内各地の土産物屋や特産品売場を彩っています。立山町の成功に続けと昔からかんもち作りが行われた山間部の農村グループが生産にのりだし、富山県を代表する特産品として知られるようになりました。

色とりどりの餅のカーテン

かんもちを作るには、ついた餅をまず細長い型に入れます。 2~3日後に硬くなったところで型から抜き、適度な厚さにカットしたら、数枚の餅を1本の長い紐で縛ります。紐の一端を蔵の天井や軒先につるし、約1ヵ月のあいだ適度な風にあてて乾燥させます。様々な味わいを楽しむためには、餅をつくときに好みの食材を混ぜ込みます。色づいた餅を紐で縛って数珠つなぎに吊るすと、冬景色が色鮮やかに彩られます。
昔から農村で行われたかんもち作りは、各農家によって味や形、つくり方は様々です。農村のおやつとして長く親しまれてきたかんもちの味に懐かしさを覚える人は多く、その人なりのこだわりを聞きながら、かんもちをほお張るのもいいものです。

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