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特集:今が旬 大門素麺 氷見のうどん

夏の食卓で大活躍

 こめどころとして知られる富山県ですが、古くから伝統的に作られている乾麺が2つあります。散居村風景で知られる砺波平野のほぼ中央にある砺波市大門(おおかど)地域に伝わる「大門素麺」と、寒ブリで有名な氷見市に伝わる「うどん」です。どちらも茹でた後に冷水でしめて、つゆと薬味で食べると美味しく、食欲が落ちる夏の季節に、大いに活躍します。中元の商品としても大変人気があり、富山県の特産として全国へ発送されます。

滑らかで弾力があり、コシが強い手延べ麺

 この2つの麺は、起源や製法等にいくつもの共通点があります。
 「大門素麺」は、江戸時代後期、売薬行商が持ち帰った加賀藩の御用素麺をみて、中島次兵衛が能登の蛸島(たこじま)へ出向いてその製法を習得したのが始まりとされています。当時の大門は零細農家が多く、副収入を得ようとした村人に素麺の製法が広まりました。最盛期の昭和初期には、60数軒の農家で取り組まれていた記録があります。
 一方、「氷見のうどん」は、かつて能登の輪島で作られていた白髪素麺(しらがそうめん)が起源と言われています。これも加賀藩の御用素麺だったもので、江戸時代中期、能登門前の総持寺やそうめん座の技術を採り入れ、氷見独自の製法を編み出して始まったと伝えられています。なお、当時日本海を行き来した北前船によって氷見へ伝えられたという説もあります。秋田の稲庭うどんや長崎県五島列島の五島うどんも、この時期の北前船によって伝えられたのではないかという説もあります。
 「素麺」と「うどん」。呼び方は異なりますが、2つの製法は似ています。どちらも生地に撚り(より)をかけながら、くり返し伸ばしていく「手延べ」によって作られます。何度もねじることで、縄のようなグルテンが形成され、茹でても延びにくく、食感は滑らかで弾力があり、コシの強い麺に仕上がります。また普通の手延べ麺は、撚りをかける際に麺がくっついたり乾燥するのを防ぐため、油が塗られますが、この2つの麺は打ち粉が使われます。そのため、油臭さがなく、小麦の香りやうまさが引き立っています。
 技術の伝承元の輪島では素麺づくりの伝統が途絶えてしまいましたが、お隣り富山県で、輪島から伝わった伝統製法を礎にそれぞれ独自の工夫を加え、2つの麺として進化を遂げたというわけです。

昔ながらの製法でつくられる大門素麺

 現在大門地域では20軒前後の農家が、農閑期の冬(11月~3月)に昔ながらの製法を守りながら、素麺づくりに取り組んでいます。作業は湿気の少ない深夜にくり返し撚りを掛けながら伸ばし、鉢伏山(はちぶせやま)から吹き下ろす寒風に細く伸ばした麺がさらされます。澄み切った寒空の下、干し場にかけられた麺が白糸のカーテンのように風になびく光景は、大門地域の冬の風物詩となっています。
 大門素麺は、丸めたままの状態で包装され、その形から「まるまげ素麺」と言われています。はじめて手にとる人は、その見た事もないスタイルに戸惑いますが、丸い形状が鍋の中にすっぽりとおさまり、真っすぐの乾麺よりも茹でやすいことに気づかされます。
 古風な包装紙には、生産者の名前がしっかりと記載されており、「顔が見える安心なのものづくり」の先駆けといえます。

 ■2010年7月:ねぎたん
 ■2010年6月:たまねぎ
 ■2010年5月:春キャベツ