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特集:今が旬 シロエビ

あいがめに棲息する淡いピンク色の宝石

 富山湾独特の海底谷「藍瓶(あいがめ))」に群泳するシロエビ。体長は約6センチと小粒で、透明感のある淡いピンク色をした姿から「富山湾の宝石」と称されます。水揚げ直後、漁船の甲板で太陽光をキラキラと反射させる姿は、まさに宝石と呼ばれるにふさわしい美しさです。漁獲された直後から色が白く変色しはじめ、浜に着くころには、白い姿をした文字通りのシロエビとなります。儚く消えゆく宝石の姿を拝めるのは、海の男たちの特権というわけです。
 シロエビは世界中に分布していますが、漁が成り立つほど大量に漁獲されるのは富山湾だけです。深海を好むシロエビにとって、水深1000mにも及ぶ富山湾の藍瓶は、棲み心地がよいのでしょう。湾内では、岩瀬漁港(富山市)と新湊漁港で専門の漁が行われており、年間500〜700トン程度が水揚げされます。

カラが剥かれて人気者に

 シロエビの漁期は4〜11月。6月から7月にかけて最盛期を迎えます。漁獲直後から色が変わりはじめるシロエビは、時間が経つにつれて、少しずつ黒みを帯びはじめます。昔は黒ずむ前に煮干しにしてダシにするか、それに食紅で色をつけてサクラエビの代用品にしていました。体長が小さいシロエビは、カラを剥くのに手間がかかるため、以前はこのような使われ方もしていました。
 ところが、一旦冷凍することでカラが剥きやすくなることがわかると、地元の水産加工業者らは最新の冷凍技術を導入して、シロエビのカラを剥きはじめました。中から現れた白い身は、とろりとした舌ざわりに、小さいながらもコクのある上品な甘さがありました。この「むき身」のおいしさが受け入れられ、シロエビの存在は広く知れ渡るようになりました。しかも新鮮なうちに瞬間冷凍されるため、1年を通して安定したおいしさが市場へ供給されました。冷凍技術の発達により、シロエビは一石二鳥を得たわけです。

おいしさは全国区に

 むき身はそのままお刺身として味わうだけでなく、鮨ダネとして、昆布〆のネタとして、また団子状にしてすまし汁にするなど、ひと手間加えた料理が割烹などのお食事処で提供されます。
 家庭では、もっぱらカラ付きで調理されます。そのまま衣をつけて油で揚げる「唐揚げ」は、サクっとした香ばしい味わいがあります。玉ネギやゴボウなどの野菜と一緒に揚げる「かき揚げ」は、シロエビの甘さがさらに引き立てられる一品です。
 むき身の登場によって存在が見直されたシロエビ。今やそのおいしさは全国に知れ渡り、様々な料理で親しまれています。

シロエビの寿命は2年余り

 シロエビの存在が広く認知されるようになってから、その生態について研究と考察が進められています。富山県水産研究所(旧水産試験場)の報告によると、寿命はアマエビの約10年に比べてはるかに短い2年から2年半。メスは体長5.5センチ程度で成熟し、一生に2度産卵。卵は1〜2ミリの楕円形で、その数はおよそ300個。これはアマエビと比べてひと桁少なく、ふ化するまでの間は、メスが卵を抱えて保護するそうです。産卵期は7〜11月。ふ化した幼生は体長が1.5センチ程度で海中を浮遊し、プランクトンを食べて成長します。
 シロエビの生態については、まだわからないことが多いのが現状です。富山湾の貴重な水産資源を守るためにも、さらなる研究が求められます。

(参考資料)
「富山なぞ食探検」(読売新聞富山支局編)
「とやまのおさかな料理」(富山県漁業協同組合連合会発行)
「シロエビの生態と資源について」(富山県水産研究所主任研究員 南條暢聡)

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