黒部名水ポーク、タテヤマポーク、フクノマーブルポーク、城端ふるさとポーク…等、産地の地名を冠した様々な「地豚」がよく聞かれるようになりました。現在、富山県内で養豚を営むすべての生産者が、産地銘柄として地名や飼育方法にちなんでつけています。「とやまポーク」には冒頭の4つに加えて、小矢部市のメルヘンポーク、砺波市のたかはたポーク、富山市八尾のおわらクリーンポーク、南砺市のむぎやポークと地養豚(じようぶた)をあわせてた全9銘柄があり、それぞれに産地ならではの工夫や生産者独自のアイデアが加えられています。
「お互いに知恵を絞って切磋琢磨するなかで、養豚のレベルを日々向上させていくのが狙いです」と話すのは、生産者すべてが加入する富山県養豚組合連合会の木島敏昭会長。今から約10年前、黒部名水ポークのブランドを普及させた立役者の一人である木島会長は、豚肉のブランド化を強く推し進めてきました。各地の銘柄豚は、黒部名水ポークの成功に追随するようにして、ここ10年間で立ち上がったものです。そして、9銘柄すべての総称を表すのが「とやまポーク」です。
県内養豚家の飼育方法には、4つの共通点があります。1つ目は、飼育する豚の種類。県農林水産総合技術センター畜産研究所(種苗供給センター)が供給する系統豚のタテヤマヨークを中心とした大ヨークシャー種と、繁殖能力に優れたランドレース種を交配して生まれた雌に、雄のデュロック種を掛け合わせた三元交配種を原則としていること。むぎやポークが種豚にバークシャー系の黒豚を用いる等の例外はあるものの、ほとんどの養豚場がこれら3つの種を交配させます。
2つ目は、飼料のやり方。豚は生まれてから180〜200日で出荷されますが、それぞれの成長段階にあわせた飼料が供給されること。飼料の組合せや配合率は各生産者によって異なるものの、5つのステージに細分化し、成長にあわせた飼料を与えるという意思統一が図られています。
3つ目は、県内唯一の処理施設である㈱富山食肉総合センターで的確に処理されているので、新鮮で衛生面や品質面が安定していること。4つ目は、県外から種豚をいれる際に、組合が運営する「県外導入豚施設」で1カ月間隔離し、病気チェックをしていること。この施設の存在が、豚の品質向上に非常に有意義だと、木島会長は指摘します。「隔離することで、病気を養豚場に持ち込まない。病気の心配がないから、薬を使う必要がなくなる」と。全国を見渡すと、各農場や地域で隔離施設を持つケースはあるものの、県全体で隔離する取組みが行われるのは珍しいようです。
三元交配種、成長にあわせた飼料の供給体制、処理施設の一元化、病気がないクリーンな品質。各ブランドによってそれぞれの特長が加わるにしても、これらの4つが「とやまポーク」を特長づける根幹となっています。
富山県養豚組合連合会は、今から約45年前に発足。生産者が県全域に渡って連携することで、品質の向上につとめてきました。生活環境の変化や後継者不足で組合員は激減しましたが、県内すべての生産者がひとつの組合を組織するのは全国的に珍しく、「とやまポーク」が安定した品質を誇る大きな要因となっています。「組合員はいいものを積極的に取り入れる協調性とフットワークの良さがある。これからも一枚岩となって、安全でおいしい養豚につとめたい」と話す木島会長の目は、「とやまポーク」の明るい未来を見つめています。
竹酢液とは、竹を蒸し焼きにしたときに出る蒸気を冷却してできる液体のこと。殺菌や消毒作用があるとして、古くから日本の生活に取り入れられてきました。これを豚の飼料に混ぜる取り組みが広がっています。この方法を発見した木島会長は、「竹酢を飼料に加えることで、豚肉特有の臭みが少なくなり、調理してもアクが出にくい」と、竹酢の効能を指摘します。黒部名水ポークの取組みにならって、県内生産者の多くは、飼料に竹酢を混ぜる取組みを実践しており、これが「とやまポーク」の特長のひとつになりつつあります。
■2010年8月:大門素麺・氷見のうどん