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特集:今が旬 富山しろねぎ

黄金色の田園に現れる緑の圃場

 富山市八ケ山地区では、集落の北部を中心に約100ヘクタールの見渡すかぎりの水田が広がっており、秋になると、黄金色に実った稲穂と青々とした葉を秋空に向かって突き上げる一面の「白ねぎ」畑のコントラストな田園風景に心が奪われます。天に向かって伸びる白ねぎの姿は、生命の新たな息吹を感じさせます。
 この八ケ山地区では、水田地帯の一部をねぎ畑に転作し、毎年9〜12月上旬にかけて約300トンの白ねぎが収穫されます。昨年(平成20年)は、気象災害もなく、7.38ヘクタールの土地で過去最高の320トンが収穫されました。その多くは名古屋や岐阜市場へ「富山しろねぎ」として出荷され、水分が豊富で柔らかく、甘味があり、高い評価を得ています。

集落を挙げて収量の拡大に取り組む

 八ケ山地区のねぎ栽培で特に注目されるのは、単位当たり収量が非常に多いことです。昨年の収穫量を10アール当たりに換算すると4トン以上が収穫されたことになり、これは他の地区の約2倍で、その理由のひとつに、水田を栽培圃場として効果的に使っている点が挙げられます。
 ねぎは圃場に水がたまると根腐れを起こしやすいことから、雨に弱いとされます。八ケ山地区の水田は、稲の状況や天候などに応じて水位を調整するための排水対策が徹底されており、雨が降ると圃場から水が抜けるように管理されています。そのため、湿害による根腐れが少なく、あまり農薬を使わなくて済むのです。
 また、八ケ山地区のねぎ畑は毎年作付圃場が移動するという特長があります。ねぎは同じ圃場で栽培し続けると病気にかかりやすくなり、収穫量・品質が低下する連作障害が発生します。八ケ山地区では農協が主体となって、1年ごとに田を借り上げ、毎年圃場を変えることでこの連作障害を防いでいます。集落が一体となって取り組むことが、高品質で安定した白ねぎ栽培に結びついているというわけです。

シチューとのコラボレーションで新たな展開

 八ケ山園芸生産出荷組合の福島保之専務理事は「集落をあげて取り組まなければ、このような取組みは難しい。足並みがそろっているからこそ、多くの収穫量が確保できる」と評価します。黄金色の田園を緑色に切り抜くねぎ畑は、そんな集落の団結と心意気を示す象徴と言えそうです。
 そんなねぎ畑を舞台に制作されたテレビコマーシャルが10月から放映され、話題となっています。大手食品メーカーのハウス食品が、県、全農とやまと共同で富山しろねぎを使った新しいシチューメニューを提案。八ケ山地区の農家で「とやま食の匠・特産の匠」でもある、澤瀉勉(おもだかつとむ)さんとご家族が出演し、富山しろねぎを使ったシチューのPRにひと役を買いました。
 CM放映にあわせて、県内のスーパーにレシピが書かれた小冊子が置かれるなど、富山しろねぎをめぐる新たな動きが出始めています。この冬は白ねぎが例年以上に食卓を賑わせることでしょう。(※写真:澤瀉勉さん)

「富山しろねぎ」と「ねぎたん」

 白ねぎの出荷規格は、全長60cmで軟白部(白い部分)が30cm以上とされます。県内では富山市八ケ山のほか、新湊、氷見、立山、大山地区などで栽培され、9〜12月を中心に、1年で約2,000トンが「富山しろねぎ」として県内外へ出荷されます。
 これに対して「ねぎたん」は、全長40cmで軟白部が20cm以上とコンパクトなサイズが特徴です。これは県農林水産総合技術センターが中心となって開発したねぎで、買物袋や冷蔵庫からはみださず、一度で食べきれるサイズであること、また葉先まで柔らかく辛味が少ない点などが評価され、親しみのあるネーミングとともに普及してきています。収穫期は7月〜8月。「富山しろねぎ」と出荷時期が重ならないことから、県産ねぎの販売拡大につながるものと期待されています。

[今が旬 バックナンバー]
 ■2009年9月:ベニズワイガニ
 ■2009年8月:呉羽梨
 ■2009年7月:入善ジャンボ西瓜
 ■2009年6月:トマト
 ■2009年5月:シロエビ
 ■2009年4月:チューリップ
 ■2009年3月:ホタルイカ
 ■2009年2月:酒
 ■2009年1月:ブリ
 ■2008年12月:かぶら寿し
 ■2008年11月:りんご
 ■2008年10月:てんたかく