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特集:今が旬 ほうれん草

収穫直後に市場へ、新鮮なまま食卓へ

 ビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養素を豊富に含み、総合栄養野菜と評されるほうれん草。高岡市は、富山県内のほうれん草生産量の約7割を占める、一大産地として知られます。そのなかでも最も盛んな佐野地区では、昭和50年代から本格的な栽培がはじまっており、その道30年以上のベテラン農家が、第一線で活躍しています。
 佐野地区は高岡市卸売市場に近く、収穫した野菜をすぐに市場へ届けられる利点があります。ほうれん草に代表される軟弱野菜は、収穫後の劣化が早く、佐野地区の地の利が、ほうれん草の出荷に有利に働きました。収穫直後に卸売市場へ出荷され、新鮮なまま野菜売場に陳列、その日のうちに食卓へ届くという流通パターンが実現したのです。地の利のある佐野地区を発端にして、高岡市はほうれん草の一大産地に成長しました。現在は高岡市内60戸あまりの農家が、年間で延べ29haの農地で栽培に取り組み、その大半が富山県内で消費されます。

見た目よりも鮮度を重視

 食品スーパーなどの野菜売場でほうれん草の陳列状況を見ると、透明なビニールで包装されているものと、包装されていないものがあります。高岡産のほうれん草は、葉の根元を結束帯で束ねるだけで、包装されません。包装することで見た目の印象を良くすることが好まれる時代にあっても、昔から変わらないスタイルで出荷されます。これは出荷までの作業時間を短くするという、鮮度重視の姿勢の現れです。
 高岡産ほうれん草のもうひとつの特長は、結束帯にエコファーマーの認定マークがついていること。エコファーマーとは、たい肥を活用した土づくりなどにより、農薬や化学肥料の使用量を低減させる栽培に取り組む農業者のことで県が認定するものです。ほうれん草栽培に取り組む高岡市農協野菜出荷組合軟弱部会は農家全員がエコファーマーを取得しており、環境にやさしい農業を実践しています。

長年のキャリアで環境変化に対応

 ほうれん草の生育は天候に左右されやすく、栽培が難しい野菜です。特に暑さに弱く、気温が30度を超える暑さが長引くと収穫できず、全滅するリスクもあります。
 そのため、遮光や空調によって土の表面温度が適温に保たれるよう調整するなど、気温変動に応じた細かな対応が求められます。高岡市内の栽培農家は、40年以上の歴史で培ったに裏付けされた経験から、昨今の気候変動でも安定した出荷を実現しており、それが高岡産ほうれん草の信頼につながっています。
 また、寒締めほうれん草の栽培に力を入れています。冬の寒気にさらすことでほうれん草の糖度をあげます。(糖度が8度以上になることをチェックしています。平均糖度は10度程度です。)これは、フルーツトマトに匹敵する糖度を実現させるもので、ほうれん草の新たな可能性を感じさせます。
 気候条件が良ければ、ほうれん草は播種から2カ月弱で収穫できます。高岡産は、4~6月と10~11月頃に出荷のピークを迎えます。そして冬の寒さを利用した寒締めほうれん草の栽培によって、1年を通して高岡産ほうれん草が出荷されます。

生育状況と鮮度がポイント

 ほうれん草は栄養が豊富に含まれていることで知られていますが、生育状況が悪かったり、鮮度が落ちると、その栄養素が失われてしまいます。生育状況の良いほうれん草は、葉が肉厚で、緑色が濃く育っています。また、根元が大きく赤みが強いもの、そして根元に近い部分から葉が生えているものもよいほうれん草と言われています。一方、葉に比べて茎が長く、太いものは育ち過ぎと考えられます。食品売場でほうれん草を選ぶ際には、このように葉や根の状態を確認するのがよいでしょう。鮮度も重要です。葉先が変色して黄色いものや、根元が干からびているものは、鮮度が落ちているとみて避けた方がよいかもしれません。
 風邪の予防をはじめ、がん・動脈硬化予防、高血圧を下げる効果、美肌効果などが期待されるほうれん草。鮮度のよいものを選び、その効能を余すことなくいただきましょう。

[今が旬 バックナンバー]
 ■2011年5月:シロエビ
 ■2011年4月:チューリップ
 ■2011年3月:ゲンゲ
 ■2011年2月:寒締めほうれん草
 ■2011年1月:かまぼこ
 ■2010年12月:たら汁
 ■2010年11月:庄川ゆず
 ■2010年10月:新川だいこん
 ■2010年9月:とやまポーク
 ■2010年8月:大門素麺・氷見のうどん
 ■2010年7月:ねぎたん
 ■2010年6月:たまねぎ